リアリティのダンス

初めて見るのにどこか懐かしい感じがした。

ホドロフスキー監督の「リアリティのダンス」。

監督の分身である少年、そして監督自身の登場。

海。魚の死体で埋まった海岸。

サーカス小屋の人たち。愉快で哀しい、どこか変わった人たち。

私の大好きな寺山修司監督の映画「田園に死す」を思い出さずにはいられなかった。美しく禍々しい。ノスタルジックな郷愁を誘うように見せかけて、強烈なアッパーカットをかますような。

監督の自伝的映画であることだけではない。あらゆる部分が「田園に死す」と重なった。寺山自身が好きな映画ベスト3に、ホドロフスキー監督の「エル・トポ」を入れていたことを考えると胸が熱くなる。

「田園に死す」の恐山における無数のカラスや複数の老婆の存在は、「エル・トポ」のそれであったように思えるし、恐山の岩の上で叫ぶ少年は「リアリティーのダンス」のそれであったように思える。そう考えると、連綿と続く映画史という壮大な繋がりに胸が熱くなる。

そして、もし寺山が現在も生きていたら、どんな作品を作ったのであろうかと考えずにはいられないのである。

映画雑感ー本屋時々映画とドラマ

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