ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール

映画館を出た後、冷たい風が心地よく、なんだか爪先立ちで歩いてみた。ダンスはできないけれど。

そのままカフェでコーヒーを飲みながら、恋愛小説なんか読んでみる。

そんな気分になる映画だ。

パンフレットでは、「ボーイ・ミーツ・ガール」ではなく「ボーイ&ガール・ミーツ・ミュージック」と謳われていたが、私はそうは思わない。なぜなら、彼も彼女も出会った当初から音楽とは既に出会っていたからだ。

冒頭、心を病んだ少女イヴが病院を抜け出し、スクリーンのこちら側の私たちにいたずらっぽく微笑みかけるとき、彼女の身体には既に音楽が通っていて、それが私たちとの心の距離を一気に狭める。彼女は音楽を通して男の子と出会い、もう1人の女の子と出会い、冒険しバンドを組み、恋をしたり失望したりして成長する。映画「バクマン」の小豆美保が「先に行くから」というように、男の子を置いて颯爽と大人になっていくのだ。

夢見がちな彼女が現実と幻想イメージの中を行き来し、架空の少女と踊る時、その時間空間の唐突な移行を音楽が繋ぎとめる。なんでもない日常から音楽を紡ぎだしていくイヴ自身が音楽そのものと言えるなら、彼女自身が映画の潤滑油と言えるのかもしれない。

映画雑感ー本屋時々映画とドラマ

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