クーキー
クーキー。
真っ赤で小さくて、ボロボロになって体から藁がはみ出してしまうくまのぬいぐるみ。
足が細くてフニフニしてるから必死に走ってるんだけどうまく走れてない。
かわいくてニヤニヤがとまらない。
ご主人さまのもとに戻ろうとゴミ処理場から逃げ出して、森の仲間たちと大冒険。何不自由ない生活をしていた甘えん坊のクーキーが仲間を守るために強くなっていく姿は子どもも大人も誰もが応援したくなるだろう。
でも時折、切なさに胸がつまる。クーキーが大冒険している全く別の世界、つまり安全に保護された清潔な世界で、ご主人さまの男の子がクーキーの冒険にシンクロしているからだ。森の動物たちが時折、男の子にクーキーの近況を伝える。本物の鳥が、病院の壁に描かれているイラストの鳥に姿を変えたりして。
これは、つまり、そういうことなんじゃないのか。クーキーの冒険は男の子の頭の中にしか存在しない。クーキーは、クーキーは・・・。
ファンタジーを自在に描き出すことができるのが映画だ。だから、楽しくて、胸がキュゥッとなる。
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